がんばりマガジン
インタビュー

「こぐま会」の久野先生に聞く 幼児教育の今<3回目>

「こぐま会」代表 久野泰可氏
「こぐま会」代表 久野泰可氏

幼児期に親子で学ぶ意義

icon文・廿楽玲子
7歳の娘をもつライター。親子ともに小学校受験の経験あり。

——『おやこでがんばりマスター!』は、先生が「こぐま会」で実践されている「KUNOメソッド」を取り入れた教材ですが、親が見守るのではなく、親子で一緒に取り組むという点が画期的だと思います。

久野先生:そうですね。幼児期の学習は、人間と人間の中で行われるものが基本です。大人が語りかけるということ。そして、手に取れる教材、場合によっては生活用品でもいいですが、そういうものを使って手を動かすことが重要です。

——それと気になるのは、学習はいつから始めたらいいのかということです。

久野先生:発達心理学を研究したピアジェ(ジャン・ピアジェ)という学者は、子どもは生まれたときから成長に伴って認知力が発達し、それは大きく4段階に分けられると唱えました。その第1段階が、0歳から2歳の「感覚運動期」です。生まれたばかりの子どもは、ものをなめたり、落としたり、触ったりして、さまざまな感覚に訴えて外界を知る。そこから概念的な思考の段階に進むのですが、そうやって頭の中で考えることは、すでに0歳から2歳の感覚運動的な学びの中にすべてある。ピアジェは、そう言っています。

——つまり学びは0歳から自発的に始まっているということですか。

久野先生:子どもが外界を知ろうとするという意味では、明らかにそうなんです。じつは私も孫ができまして、生まれ育っていく様子を実際に見ているのですが、ピアジェの言っていることはきわめて具体的なんですよ。改めてすごい学者だなと思っているところです。

——確かに赤ちゃんの成長って、昨日できなかったことが今日できるという驚きの連続ですよね。それは赤ちゃんの成長を見守る多くの親が共感できると思います。

久野先生:ですから子どもに働きかけることは生まれてすぐ、言葉を覚える前からやったほうがいいですし、ずっと続けることに意味があります。たとえば読み聞かせは、小学校に入って文字が読めるようになっても、低学年くらいまでは続けたほうがいいでしょう。というのも、読み聞かせはただお話を聞くというだけではない。子どもは、お母さんの息づかいとか、お父さんのにおいとか、そういうものを全部ひっくるめて話を聞き、世界を構築している。だからやっぱり人間が人間に読んであげることが大事で、それが脳の発達にもとてもいいと言われています。

久野先生:子どもに働きかけることが大事

——子どもたちはつねに学習できる状況にあるということですね。タブレットを使った学習については、どうお考えですか。

久野先生:タブレットは、繰り返しの学習にとても便利です。幼児期の学習は対面が基本になりますが、そこで培われたものをツールを使って繰り返しやることによって、定着していく。幼児の教育は、繰り返すということがとても大事なんです。

たとえばフラッシュカードを使った記憶の訓練は、子どもの特性をいちばんうまく生かした学習法と言えます。試しに、小学校受験で出題される「おはなしの記憶」を子どもと一緒にやってみてください。たぶん、大人には難しいです。なぜかというと、大人は話を聞きながらメモしたりする技術を持ってしまったから、ただ聞くだけで判断するという能力が閉ざされてしまっている。ところが子どもは、ただそのまま聞くということができるんです。幼児期にその能力を伸ばすことは、脳の発達にとっては意味があります。

——学習アプリの『ひとりでがんばりマスター!』は、そんな繰り返し練習にピッタリの教材ですね。そして『おやこでがんばりマスター!』は教材やペーパーもセットになっていて、家庭で体験型の学習ができます。

久野先生:『おやこでがんばりマスター!』はアニメーションのストーリーが、教室で先生が発問する内容になっています。家庭学習は教室と違って先生がいませんから、アニメーション自体が先生役をしてくれるわけです。そのうえで、教材やペーパーを使って学ぶというのは、「おうち幼児教室」としては理にかなった学習法だと思います。

——親子で会話をしながら一緒に考えるシーンも多いですね。

久野先生:その中で、自分でものごとを考え、言葉で表現していく力が付く。その表現力が今、小学校受験でもいちばん求められています。つまり今の時代、子どもたちにもっとも欠けている力だということです。

——アニメーションの続きを観たいという気持ちも、学習のモチベーションにつながるのではないでしょうか。

久野先生:そう思います。「こぐま会」の教室も、次に来たときは何をやるんだろうというワクワク感を持たせて帰すことで、次の学習につなげます。それで年間48回の授業をつなげているのです。

——『おやこでがんばりマスター!』は、「こぐま会」の教室に一歩近づいた教材と言えそうですね。

久野先生:そうですね。『おやこでがんばりマスター!』と『ひとりでがんばりマスター!』はまったく質の違う教材で、子どもの関わり方も大きく異なってくるので、うまく使いわけてほしいですね。

——それでは先生、最後に、学びの入り口に立っている親子たちに何かメッセージをいただけますでしょうか。

久野先生:教育においていちばん大切なことは、親が子どもを信じるということです。それから、他人と絶対に比較しないということ。子どもにはそれぞれ育つリズムがありますから、そのリズムを信じて、一つひとつ応援してあげるというスタンスがいいと思います。そうすればきっと学びは楽しいものになるはずです。

以上、3回に分けて連載いたしました『「こぐま会」の久野先生に聞く 幼児教育の今』完結いたします。

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